- E1459 - DSpaceコミッター就任の鈴木敬二さんにインタビュー | カレントアウェアネス・ポータル
- 専門性とかシステムズライブラリアンとかどうでもよくて(E1459感想) - ささくれ
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注:書き終わったあとでシステムズライブラリアンはどうでもいいってタイトルに書いてあるじゃないかと気づいたので、以下の文章は上の記事群とはあまりつながらないかもしれません......すみません......
DSpaceコミッターの方のインタビュー記事がカレントアウェアネスRに掲載されたのをきっかけとして、システムズライブラリアンまたはそれに類する業務の話題が図書館系ブログ界隈で盛り上がっているようです。
私はまだいち学生でありシステムズライブラリアンについて語るような言葉は持っていません。ただ、システムズライブラリアンの業務についてのお話を聞くたびにいつも気にかかることがあります。それは図書館における「システム」とは何かという疑問です。
図書館システムと聞くとOPACや貸出業務システムなどの図書館業務を補完するソフトウェアやウェブサービスをついイメージします。しかし、そもそも図書館システムという用語は、図書館相互貸借のネットワークを維持するための運用制度として使われてきました。ICTはあくまでも手段であり、システムの本質は別にあるのではないかと思います。
システムという言葉はなにもICTの領域でだけ使われる表現ではありません。ハーバート・A・サイモンが執筆した『システムの科学』で挙げられたシステムの実例は市場経済やアリの学習パターンなど多様です。オートポイエーシスなどの概念は、生命や社会そのものをシステムとして分析するために生まれ様々なシステム論が形成されました。
資料や人材を集積して組織化し、情報提供サービスを創出しているという点で図書館そのものがシステムの一種であるということもできるでしょう。そうだとしたら、普段私がシステムと呼んでいるOPACや図書館業務システムとは一体何なのでしょうか。
ICTは業務を効率化することに大きな貢献を果たしていることは間違いないと思います。しかし、そのICT技術で作り出したソフトウェアが真価を発揮するのは運用方法やユーザーの適合能力があってこそでしょう。そう考えると、図書館においてシステムに関わるというのは何もソフトウェア開発だけではないし、むしろそこにのみ注力していると結局良いシステムが生まれないということになりかねない。
システムズライブラリアンという役割を批判したいわけではありません。むしろ私にとっては魅力的な職業であると思いますし、面識のあるシステムズライブラリアンの皆さんには尊敬の念を抱いています。
ただ、私が気にかかるのは本来図書館という1つのシステムを運用するために図書館業務の全般はあるはずであるのに、なぜシステムズライブラリアンという用語が注目され、その業務を重視するようになったのか。他の業務との違いはなにか。それが、現場で苦労していない者にはピンときていないということが正直な気持ちなのです。
きっとその疑問がはらされた時には図書館の職務についての本質をより深く理解できるに違いない。そう思いますので、システムズライブラリアンについてもっと多くの方々からお話を伺いたいですね。